メラノピック等価昼光照度(m-EDI)とは?体内リズムへの影響を評価する照明指標
目次
メラノピック等価昼光照度とは
照度とメラノピック等価昼光照度の違い
メラノピック等価昼光照度の計算方法
メラノピック等価昼光照度で“健康のための光”を考える
日中の照明環境(例:オフィス)
夜間の照明環境(例:自宅、高齢者福祉施設)
メラノピック等価昼光照度とは
生体に与える光の量を昼光を基準に数値化したもの。単位はlx(ルクス)。従来の照度とは異なり、 2002年に発見された新しい光受容体(内因性光感受性網膜神経節細胞、ipRGC)の感度を考慮し、体内リズム(サーカディアンリズム) に影響する明るさを定量的に捉えることができる。
サーカディアンリズム(概日リズム)の仕組みや、光との関係について詳しく知りたい方はこちら
照度とメラノピック等価昼光照度の違い
照度
明るい所で色を識別する細胞(錐体細胞)が感じる明るさを表す。
メラノピック等価昼光照度
メラトニン(睡眠を促すホルモン)の分泌を抑える 働きを持ち、体内リズムの司令塔を担う細胞(ipRGC)が感じる明るさを表す。
すなわち、メラノピック等価昼光照度とは「体内リズムへの影響を考慮した上で表現される明るさ」であると言える。 具体的には、メラノピック等価昼光照度が高いほどipRGCによってメラトニンの分泌が抑制されるため、覚醒や集中を促す光となる。低ければ、メラトニンが分泌されるため、「睡眠」や「リラックス」につながる光となる。
メラノピック等価昼光照度の計算方法
一般的な照度計でメラノピック等価昼光照度を計測することはできないが、照度計で計測した照度にメラノピック比をかけることで、メラノピック等価昼光照度を計算できる。
※メラノピック比の情報は、照明器具メーカーに確認するとよい。
メラノピック等価昼光照度で“健康のための光”を考える
私たちの体内リズムは、「朝明るくなり、夜には暗くなる」という1日の光の変化に同調する。現代では、太陽の出ている日中も、日が沈んだ夜間も、屋内の人工照明のもとで過ごすことが多いため、日中は光不足、夜間は光を過剰に浴びている傾向にある。 体内リズムが乱れると、不眠などの睡眠障害に加え、高血圧や糖尿病など多くの病 気を引き起こす原因になるとされている。健康のための光を考えると、体内リズムへの影響を表すメラノピック等価昼光照度は大いに参考になるはずだ。
メラノピック等価昼光照度をコントロールする上で重要なのは、光の色すなわち色温度だ。 1800~12000Kという色温度の範囲を持つLED照明で、色温度ごとのメラノピック等価昼光照度を比較すると、1800Kでは5000Kの0.3倍、12000Kでは5000Kの1.5倍と全体では約5倍の違いがあり、色温度が大きく左右することがわかる。 同じ照度でも、色温度が高い(青に近い)光はメラノピック等価昼光照度を確保しやすく、色温度が低い(赤に近い)と確保しづらいことがわかる。
※遠藤照明 次世代調光調色シリーズ「Synca」を同じ照度で比較した場合
それでは、健やかな体内リズムを光でサポートするべく、実際の照明計画にメラノピック等価昼光照度を取り入れてみたい。
日中の照明環境(例:オフィス)
日中の光不足を防ぐためには、高いメラノピック等価昼光照度が求められる。WELL認証では体内リズムを整える目安として、作業面から18インチ(約45cm)の 高さにおいて、メラノピック等価昼光照度で250lxを少なくとも4時間(遅くとも正午までに開始)確保することが推奨されている。2) 前述の通り、高色温度の光はメラノピック等価昼光照度を効率よく確保できるため、必ずしも高い照度は必要とされない。調色機能を上手に活用すれば、適切なメラノピック等価昼光照度を確保できる。
2) WELL v2,Q2 2025より
調色機能を取り入れたオフィス事例はこちら
夜間の照明環境(例:自宅、高齢者福祉施設)
夜に浴びる光は体内リズムの乱れを引き起こす原因になるため、夜間はメラノピック等価昼光照度を極力抑えることが重要。とは言え、生活に支障が出るほど暗くはできない。低色温度の光を活用すれば、照度は確保しつつ、メラノピック等価昼光照度を抑えることができるので、夜間に生理的に過剰な光を浴びることを防げる。
健康は体内リズムと密接な関わりがある。 体内リズムへの影響を表すことができるメラノピック等価昼光照度を通して、自身の心身を見つ直すこともできるだろう。 照度に加え、メラノピック等価昼光照度を適切にコントロールして、人の体や心に寄り添った光環境をつくり出すことを目指していきたい。
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