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輝度とは?定義・単位(cd/㎡)・明るさの感じ方を図解でやさしく解説【照度との違いも】

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米テキサス州にあるキンベル美術館の特徴的なボールト天井(遠藤照明社員撮影)と輝度分布シミュレーション(左下)。輝度分布を見ると、天井の輝度が他の箇所に比べて非常に高くなっており、輝度対比が大きいと分かる。
輝度とは、光源や物体から反射した光が、人の目にどれだけ届いているかを表す指標であり、単位はcd/㎡(カンデラ毎平方メートル)だ。
同じ水平面照度を確保していても、明るく感じる空間もあれば、暗く感じる空間もある。この違いを生む要因のひとつが「輝度」である。
本記事では、「輝度とは何か」を基礎から解説するとともに、照度との違いや、なぜ輝度が「明るさの感じ方」を左右するのかを図解を交えてわかりやすく解説する。
「輝度(日:きど 英:luminance)」とは、光源やその受光面から反射された光が、ある方向から観察した人の目にどれだけ届いているかを数値化したものを指す。簡単に言うと、「人の目に入る光の量」だ。
照明の明るさを考える際、「照度(lx)」が用いられることが多いが、照度はあくまで「面に当たる光の量」を示す指標だ。一方で輝度は、実際に目に入ってくる光の量に基づいており、人が感じる明るさの感覚により近い指標といえる。
※「輝度」は、テレビの液晶画面などといった面光源の明るさを数値化する際の指標として多く用いられるが、照明用語を規定するJIS Z 8113では、輝度は「発光面上、受光面上又は放射の伝ぱん路の断面上において式(中略)によって定義される量」と定義されている。つまり、輝度は発光面(面光源)だけでなく、受光面の明るさを表す際にも使用される。
輝度の単位は「cd/㎡(カンデラ毎平方メートル)」。これは、ある面の「一定の面積あたりに、どれだけの光が特定の方向に放射されているか」を示している。
ここで重要なのは、輝度が「面積あたり」で定義されている点だ。
同じ光の量であっても、それが広い面から均一に出ているのか、小さな面から集中して出ているのかによって、見たときの明るさは大きく異なる。例えば、ディスプレイや照明器具の発光面を考えると、面が小さくても強く光っている場合はまぶしく感じられる。これは、単位面積あたりの光の強さ(=輝度)が高いためだ。
また、輝度は、物体の反射率にも大きく影響を受ける。
均等に光を拡散する面(均等拡散面)における、輝度の計算式は以下の通りだ。
輝度 = 照度 × 反射率 ÷ π
これは、同じ照度であっても、反射率が高いほど目に届く光の量が増え、明るく見えることを意味している。例えば、同じ照度で照らされている空間でも、壁や床の色や仕上げによって、明るく見えたり、暗く見えたりすることがある。これは、反射した光の量が異なり、目に届く光の量(=輝度)が変わるためだ。
私たちが感じる「明るさ」は、単純な光の量だけで決まるものではない。同じ照度であっても、空間の明るさの感じ方が異なるのは、「輝度」とその分布が影響しているためだ。
例えば、壁や天井が明るく均一に照らされている空間では、空間全体が明るく感じられる。
一方で、床だけが明るく、周囲が暗い空間では、同じ照度であっても暗く感じられることがある。
このように、明るさの感じ方は「どこがどれくらい明るく見えるか」というバランス(=輝度分布)によって大きく変わる。つまり、照度が光の量を示すのに対し、輝度は人が感じる明るさに直結する指標といえる。
照度と輝度は、どちらも「明るさ」に関わる指標だが、その意味は大きく異なる。
両者は似ているようでいて、前提となる考え方や設計への影響が大きく異なる。
輝度は、まぶしさ(グレア)の評価において重要な指標だ。
グレアとは、光源や反射面が過度に明るく見えることで生じる不快感や、視認性の低下を指す。屋内空間のグレアは、UGR(Unified Glare Rating)と呼ばれる指標によって数値化されており、UGRの計算には、光源や背景の輝度が用いられる。
例えば事務室では、UGR19以下といったJIS基準が設けられており、快適な視環境を実現するためには輝度に配慮した照明計画が求められる。
<UGRの値と不快グレア程度の関係(抜粋)>
UGR28:ひどすぎると感じ始める
UGR25:不快である
UGR19:気になる
UGR13:感じられる
輝度は、屋外照明、特に道路照明の分野でも重要な指標として用いられている。
道路照明では、路面にどれだけ光が当たっているか(照度)ではなく、ドライバーから見たときに路面がどのように見えるかが重要となる。そのため、国土交通省によって整備されている道路照明施設設置基準では、ドライバーの視点から見た路面の輝度を表す平均路面輝度の許容値が、道路の分類や条件ごとに設定されていたり、トンネルの入り口と出口部分の路面輝度が、設計速度ごとに細かく定められていたりする。
このように、実際の見え方が重視される場面では、照度ではなく輝度を基準とした設計や評価が行われている。
照明には、「視作業に必要な明るさを確保すること」と、「空間の印象や雰囲気をつくること」という2つの役割がある。
前者は照度によって評価されるのに対し、後者は人の目にどのように見えているか、すなわち輝度によって大きく左右される。そのため、空間の見え方や快適性を適切に設計するには、照度だけでなく輝度の視点を取り入れることが重要となる。
輝度設計を適切に行うことで、明るさの感じ方のコントロールや空間の雰囲気のデザイン、さらには省エネと快適性の両立にもつながる。
では、輝度設計では具体的にどのような点に着目すればよいのだろうか。
輝度設計では、視野内の見え方を総合的に整えることが求められる。特に重要となるのが、以下の3つの視点である。
光源や反射面の輝度が高すぎると、不快感や視認性の低下につながる。
そのため、照明器具の仕様や配置、遮光角などに配慮し、グレアを抑制することが重要となる。
視野内のどこがどの程度明るく見えるかという輝度分布は、空間の明るさの感じ方や快適性に影響する。
作業面だけでなく、壁や天井の見え方も含めて、空間全体のバランスを整えることが重要である。視野内で、大きな面積を占める面や、よく視線を向ける面の輝度を高めると、明るく感じやすい。
対象の見えやすさは、周囲との明るさの差、すなわち「輝度対比(対象物とその周辺背景の輝度の比)」によって大きく左右される。
同じ輝度であっても、背景が明るい場合は対象は暗く見え、背景が暗い場合は明るく見える。
このように、人が感じる明るさは対象そのものの輝度だけでなく、周囲との関係によって変化する。
近年では、輝度の重要性が制度面にも反映されつつある。
2023年、屋内照明基準であるJIS Z 9125が改定され、事務所の一部の室用途について、従来の照度基準に加えて、輝度に関する基準が新たに盛り込まれた。
また、日本建築学会の屋内光環境基準AIJES‐L0002‐2025では、事務所以外の用途についても、輝度に関する基準が提示されている。
これは、空間の明るさを評価する上で、照度だけでなく輝度を重視する考え方が広がっていることを示している。
輝度とは、光源や物体からの光が人の目にどれだけ届いているかを表す指標であり、明るさの感じ方に深く関わっている。
同じ照度であっても、空間の見え方や雰囲気が異なるのは、目に入る光の量、すなわち輝度やその分布が影響しているためである。
照明計画においては、照度による明るさの確保に加え、輝度を踏まえて空間全体の見え方をデザインすることが重要となる。輝度という視点を取り入れることで、明るさの感じ方や空間の雰囲気を適切にコントロールし、快適な光環境の実現につなげることができる。
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