照明計画に欠かせない「ルーメン」「ルクス」などの光の単位や用語だが、皆さんはその正確な定義をご存知だろうか。今回は、つい誤って覚えがちな光の単位・用語を9つ紹介する。
明るさの単位
光束 [lm:ルーメン]
光源から放射されるエネルギーのうち、人間の眼に光と感じる量のことを光束(lm:ルーメン)と呼ぶ。正確には1秒間に放射されるエネルギーを視感度で測ったもの。また、光源から放射される全方向の明るさを「全光束」といい、光源の多くはこれを明るさ評価の指標とする。
なお、光源の全光束が同じ場合でも、器具効率によって器具の明るさは異なるため、実際の空間においては、器具効率を考慮した器具光束を指標とすることが大切だ。
光度 [cd:カンデラ]
光度 (cd:カンデラ)は、ある方向への単位立体角当たりの光束(光の量)を指し、各方向への光の強さを表す。
光が四方に出ていても、各方向への光の強さは異なる。特に指向性のある光源は、光軸方向の光度=軸光度・中心光度を評価軸とする。
照度 [lx:ルクス]
単位面積当たりに入射する光の量を照度 (lx:ルクス)と呼ぶ。なお、2023年に改定されたJIS規格の「JISZ9125」では、場所の用途や作業内容に応じて推奨される照度の基準が制定されている。
「JISZ9125」についてのさらに詳細な説明はこちら
輝度 [cd/㎡:カンデラ/平方メートル]
光源面からのある方向への光度を、その方向への見かけ上の面積で割った値を輝度 (cd/㎡:カンデラ/平方メートル)と呼ぶ。つまり、同じ光度である場合は、点光源に近いほど輝度が高くなる。また、この輝度が大き過ぎると、不快なまぶしさ=「グレア」となるので注意が必要。
輝度計算の大切さ
現在の照明計画で一般的に用いられているのは水平面(机上面や床面など)の照度分布だが、私たちが実際に感じている“明るさ”を表現しているのは、照度分布ではなく、輝度分布である。なぜなら、光が目に入った結果我々が感じる明るさは、「光源からの光もしくは反射光の光度を、目の表面積で割った輝度」と言い換えることができるからである。
また、複雑で敬遠されがちだった輝度計算だが、現在は計算ソフトの発達により簡単に行えるようになった。詳しい説明は下記リンクを参照してほしい。
照明計画を「輝度」で立てるべき理由とは?
色の単位
色温度 [K:ケルビン]
光の色を表す単位を色温度(K:ケルビン)と呼ぶ。黒体に高熱を加えた際に放射される光の色を、そのときの黒体の温度で表現する。
色温度が低いほど赤みがかった光色、色温度が高いほど青みがかった光色となる。
明るさと光色を調節できる「調光調色」機能のメリット・デメリットは?
演色性 [平均演色評価数 Ra:アールエー]
照射した物体の色を再現する光源の性能を、演色性と呼ぶ。日本では、演色評価数によって数値化され、JIS(日本産業規格)で定められた基準光との比較で、測定対象となる光源が演色評価用の色票を照明したときに生じる色のずれを指標として表したもの。
平均演色評価数(Ra)
8色(R1~R8)の演色評価数を平均した値のことを指す。通常はこのRaを演色性を表す数値としてカタログ情報に記載する。
特殊演色評価数
8色(R1~R8)に、赤(R9)、黄(R10)、緑(R11)、青(R12)、西洋人の肌色(R13)、木の葉の色(R14)、日本人の肌色(R15)の7色を加え、計15色の演色評価数を平均した値のこと。
演色性のより詳細な説明はこちらをチェック
参考:平均演色評価数(Ra)の捉え方について
一般的に、Ra80以上であれば、色彩の見え方を実用的に満足できると言われている。また、この数値はあくまでも基準光との色のズレ具合を表したものであり、「好ましく見えるかどうか」を表した指標ではない。光を照射する対象や、場面などによって、Raが低い照明器具でもより好ましい色に見えるケースもある。その点では、あくまで参考値として捉える必要がある。
エネルギーの単位
消費電力 [W:ワット]=電圧(V)×電流(A)×力率(≦1)
入力容量 [VA:ブイエー]=電圧(V)×電流(A)
交流電源では、モーターや変圧器に使われるコイルなどによって電圧と電流の間に位相差が生じる場合があり、その結果、入力された電力(VA)のうち消費されない無効な電力が生じてしまう可能性がある。
つまり、同じ消費電力でも力率が小さければ、それだけ大きな電流が必要である。
電気料金・・・Wで計算
設備容量・・・VAで計算
エネルギー消費効率 [lm/W]
1Wの消費電力あたり、どれだけの光が出ているかを表す。
この数値が大きいほど、同じ明るさをより少ないエネルギーで実現できることになるため、省エネ性能の参考値として利用される。
まとめ
今回は照明計画で特に押さえておきたい単位・用語や、その考え方を紹介しました。混同しがちな言葉の正しい意味を再確認し、より正確な照明計画を実現しましょう。
Writer
ヒカリイク編集部
『ヒカリイク』は、人と光に向き合うデザイン情報サイトです。
これからの空間デザインに求められる照明の未来から、今すぐ使えるお役立ち情報まで、
照明についてのあらゆるニュースをお届けします。