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輝度と照度の違いとは?|意味・使い分け・設計で重要な理由を解説

2026.5.28
輝度と照度の違いとは?|意味・使い分け・設計で重要な理由を解説

「照明が点いているのに暗く感じる」
「まぶしくて見づらい」
こうした見え方の違いを理解する鍵となるのが、「輝度」と「照度」という2つの指標だ。

本記事では、「輝度」と「照度」の違いを図解と比較表で整理しながら、明るさの感じ方が変わる理由や、照明計画における使い分けをわかりやすく解説する。

1章|輝度と照度の違いとは?

輝度と照度の違いを一言でいうと、以下の通りである。

・照度:面に当たる光の量
・輝度:目に入る光の量

つまり、照度は「面にどれだけ光が当たっているか」、輝度は「その面がどれだけ明るく見えるか」を示している。

1-1.違いを一目で比較

輝度と照度の違いを、主なポイントごとに整理すると以下の通りである。

輝度と照度の比較表
項目 照度 輝度
意味 面に当たる光の量 目に入る光の量
単位 lx(ルクス) cd/㎡(カンデラ毎平方メートル)
人との関係 人がいてもいなくても数値は変わらない 人の視線の方向によって数値が変わる
影響要因 光源の光束・配光・距離 照度・受光面の反射率や光沢・視線方向
評価の対象 作業面の明るさ 空間など視対象の見える明るさ
設計基準 JISや法規で基準が定められている JISで一部基準がある
測定方法 比較的容易 高価な専用機器が必要な場合が多い

1-2.図解で理解する違い

照度と輝度の違いは、光の「どの段階を見ているか」を考えると理解しやすい。

上図の通り、照度は面に到達した光を示し、輝度はその面から目に向かう光を示している。つまり、照度は光が“当たる”段階を、輝度は光が“目に届く”段階を見ている。

また、照度は机上などの視作業に必要な明るさに関わるのに対し、輝度は空間全体の明るさの感じ方や雰囲気に関わる指標である。
壁や天井の明るさ、視線の向きによって目に入る光の量は変化する。そのため、水平面照度が同じでも、空間の印象や明るさの感じ方に違いが生まれることがある。

2章|なぜ照度だけでは明るさを説明できないのか

照度は空間の明るさを考えるうえで重要な指標だが、それだけでは人が感じる明るさを十分に説明することはできない。
同じ水平面照度であっても、「明るく感じる空間」と「暗く感じる空間」が存在するのはなぜだろうか。その違いは、目に入る光の量、すなわち輝度が異なるためである。

ここでは、その主な理由を整理する。

2-1.反射率の違い

同じ照度であっても、面の反射率によって目に入る光の量は大きく変わる。
例えば、白い壁と黒い壁に同じ光が当たっている場合、照度の値は同じである。しかし、白い壁は多くの光を反射し、黒い壁は光をあまり反射しないため、目に入る光の量には差が生じる。
このように、反射率の違いが、そのまま明るさの感じ方の違いにつながる。

反射率の例(「建築学大系22 室内環境計画」より抜粋)
材料 反射率[%]
コンクリート[壁] 20~30
赤煉瓦(新)[壁] 25〜35
杉(新)[建築木部] 30~50
畳(新)[床] 50~60
白壁一般[壁] 55~75

2-2.周囲との関係

人が感じる明るさは、対象そのものの明るさだけでなく、周囲との関係の中で相対的に決まる。

例えば、同じ照明条件の店舗でも、周囲がより明るい環境だと暗く感じられ、逆に周囲が落ち着いた光環境であれば、明るい印象を受けることがある。

このように、人は周囲との比較の中で明るさを認識している。

2-3.見え方のバランスの影響

空間の明るさの感じ方は、「どこが明るく、どこが暗いか」というバランスに大きく左右される。
照度は作業面の平均値として扱われることが多いが、人が感じる明るさは、視界の中で光がどのように分布しているか(輝度分布)に影響を受ける。

左と右の空間は平均水平面照度がどちらも750 lxである。
しかし、壁や天井を含めた視界全体の光のバランスによって、空間の明るさの感じ方は異なる。

このように、人が感じる明るさは、反射率や周囲との関係、見え方のバランスなどによって変化する。そのため、照度の値だけでは、実際の明るさの感じ方を十分に説明することはできない。

3章|照度と輝度の使い分け

照度と輝度は、それぞれ異なる側面から空間の明るさを捉える指標である。
そのため、目的に応じて使い分けることが重要となる。

3-1.照度で考えるべき場面(視作業)

照度は、文字の読み書きなどの視作業に必要な明るさを考える際に有効である。
デスクワークや作業スペースでは、一定以上の明るさを確保することが求められるため、机上などの作業面の照度を目安に照明計画を行うのが一般的である。

また、照度についてはJIS照度基準が整備されており、用途に応じた明るさの目安が示されている。これらを参考にすることで、必要な明るさを客観的に判断しやすくなる。
まずは適切な照度を確保することが、照明計画の基本となる。

JIS照度基準の一覧と用途別の明るさ目安を見る

3-2.輝度で考えるべき場面(空間の雰囲気・快適性)

輝度は、空間の雰囲気や明るさの感じ方、快適性を考える際に有効である。
例えば、落ち着いた雰囲気にしたい空間では全体の明るさを抑えつつコントラストを強め、光の重心を下げる(画像左)、開放的で明るい空間にしたい場合には壁や天井まで光を回して視界全体を明るくする(画像右)、といったように、目に入る光のバランスを調整することで、空間の雰囲気をコントロールすることができる。

また、輝度を用いることで、こうした雰囲気の設計を感覚だけでなく数値として共有できる。設計者間での認識合わせや再現性の確保にも有効である。
さらに、視界の中に極端に明るい部分があるとまぶしさ(グレア)につながるため、快適性の観点からも輝度の配慮が重要となる。

4章|照度と輝度を組み合わせて考える

実際の照明計画では、照度と輝度のどちらか一方だけでなく、両者を組み合わせて考えることが重要である。

・視作業に必要な照度を確保する。
・輝度を考慮し、光のバランスを調整することで、空間の見え方や雰囲気を設計する。

照度による定量的な評価に加え、輝度によって実際の見え方をコントロールする。
この両者を組み合わせることが、質の高い光環境の実現につながる。

近年では、照度に加えて輝度による評価も重視され、輝度に関する設計基準の整備も進みつつある。
適切な輝度設計によって、必要以上に照度を高めなくても、明るく快適に感じられる空間づくりが可能になる。
こうした考え方は、快適性と省エネルギーの両立にもつながっている。

JISに追加された輝度基準についてくわしく見る
Writer
ヒカリイク編集部

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