川口市めぐりの森
- 公共施設
- 調光調色
- 間接照明
- 関東
心の整理を行いながら温かい気持ちで見送る 最期のお別れの場にふさわしい光環境
■心の整理を行いながら温かい気持ちで見送る 最期のお別れの場にふさわしい光環境
「川口市めぐりの森」は、埼玉県川口市赤山の自然を活かし、水と緑に囲まれた、水辺に佇む火葬施設。人が自然の中から生まれ、また自然の中に帰っていくような、大地になじんだイメージで設計された。建物内部は静かに安らかな時間を過ごすことができるよう、火葬炉や事務室などの管理部門を建物中央に配置し、外周に待合ホールを設け、会葬者が回遊できるようになっている。四周の大きな窓からは9haの公園の緑や水辺が見え、とても開放的な一体空間に。その建物の中央に、告別収骨室は位置する。収骨室は、告別時と収骨時で部屋の照明を変えるなど、市民の終の空間としてさまざまな工夫を凝らしている。
この施設では、遺族が安らかに故人をしのぶことができる、最期のお別れの場にふさわしい雰囲気となるよう光の工夫がされている。エントランスホール・待合ホールでは、大きなうねりを持つ自由曲線屋根が柱へとなめらかな曲線がつながり、間接照明の光により、その曲線の美しさを表現している。故人と最期の別れをする炉前の部屋は、その後に収骨をする場所でもあり、それぞれの役割に合わせた光環境が計画されている。部屋の周囲を包むように設えられたコーニス照明と、天井
に設けられたコーブ照明によって別れの時は丁寧に温かい気持ちで
天国への見送りができるよう、夕暮れの空を見上げているような光環境を。一方、時を経て収骨のために部屋に戻ってくる時は、遺族が心の整理を行って、お骨を拾い施設を後にできるよう、晴れた青空のような光環境となっている。告別時の光は、夕暮れの空の色を発色させるために、電球色に赤色の光が加えられており、その光の下では人の顔がほんのりと紅が差して見える。お別れにふさわしい光環境である。