SUPPOSE DESIGN OFFICE 東京事務所 社食堂
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「働く」ではなく「過ごす」場所としてオフィス空間に新しい価値観を提供
お客様の声
「働く」ではなく「過ごす」場所としてオフィス空間に新しい価値観を提供
サポーズデザインオフィス 共同代表/建築家 谷尻 誠 様
私たちが考えるオフィスは、「働く」場所というより「過ごす」場所、生活する場所です。昔の日本では、家の軒先で商売をするなど、住まいと仕事場が同居していました。それがいつの間にか明確に分けられました。その分、効率は図られましたが、随分つまらなくなった気がします。東京事務所では「分けない」ことが、テーマの一つでした。仕事する、休む、食事する、コミュニケーションをとる…そこに境界線がない空間をつくりました。「社食堂」にしたのは、スタッフの健康のためです。私たちの身体の細胞は、日々の食事からつくられます。健康的な食事が健康な細胞をつくり、健康な思考、アイデアを生み出す。だからスタッフにはきちんとした食事を摂ってほしい。そんな想いから「細胞からデザインする」と いう「社食堂」のコンセプトが生まれました。また、書籍が並ぶ棚はライブラリーでもあり、 アートが展示された壁はギャラリーでもあります。オフィスに打ち合わせに来た人がアート に出会ったり、食事を楽しんだり、思いがけない体験をすることも。発想の種を生む化学反応が、ここで起きています。
一日の流れに合わせて光と音をコントロール
「過ごす」場所として考えれば、照明は主張しない方がいいですね。太陽光のような心地よさを感じる光環境が理想です。「社食堂」の照明は天井への間接照明とスポットライトで構成されていますが、昼間は白っぽく明るめとし、夕方以降は間接照明の明るさを落とすなど、自然光の一日のリズムに合わせて光をコントロールしています。実はBGM音楽も、朝は溌剌と活動できるような曲、昼はテンションが高くなる曲というように一日の流れを考慮して選曲しているんです。光と音は近い関係で、そのコンディションに応じて、静かに集中したいとか、活動的になりたいとか意識も変化します。特に光環境は、明るいと活発に会話するし、暗いとついひそひそと話すように、人間の
行動や心理に大きな影響を与えています。
照明も「働く」場所としてだけではなく、自分らしく「過ごす」場所として、ふさわしいあり方を考えるべきだと思っています。
[写真]井の頭通りに面したビルの地下1階に位置する 撮影:新建築社 写真部