乾久美子

乾久美子
パネル

あかるさの研究

なんともない部屋をあるきまわると「光の洞窟」みたいなものを発見します。そこに光がないようにおもわれたところに、ふわりと光の固まりがあるのです。 ついでに「暗闇の洞窟」もあります。それは岩などで遮断された閉鎖的な場所なのではなくて、そこに暗闇がないとおもわれたところに、ふわりと闇が浮かんでいるのです。 空間に、三次元的に、光の濃淡が広がっている。 その中で私達はどのような快適さを感じるのでしょうか。

伊藤達男

伊藤達男

久しぶりにバルコニーに出ると満月だった。
暖かくもなく、冷たくもない、明るくもなく、暗くもない、
ふしぎなあかりに家々の屋根が照らされていた。
月に一度はこんなあかりの下で過ごすのも良いと思う。
月明かりが「光の洞窟」に繋がるかどうかは判らないが、
空間の明度と照度の関係をコントロールすることで、
そのような雰囲気の空間が生まれるかもしれない。
そこには、空間の質感は照度や輝度によって左右されるという、
そんなテーマが潜んでいるような気がする。
照度とは何か、輝度とは何かを感覚的に捉え直すことによって、
あかりの表現に少し違った道が開けるのではないか。