バスターミナル東京八重洲 第1期エリア
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バスターミナルに空間デザインの視点、利用者の“ふるまい”を誘う光環境を実現
お客様の声

バスターミナルに空間デザインの視点
利用者の“ふるまい”を誘う光環境を実現
株式会社中山佳子設計企画 代表取締役 中山 佳子 様 (元 株式会社日本設計)
日本の玄関口といえる東京駅八重洲口前に2022年オープンした「東京ミッドタウン八重洲」の地下1・2階に、全面開業時に国内最大級となる高速バスターミナルの 第1期エリアが開業。八重洲地区における3つの再開発事業の足元に、段階的に開業するバスターミナルを一体整備するため、空間デザイン、デザインマネジメント、プロジェクトデザインからなる、デザインディレクションを実施しました。
利用者視点の体験設計から、国内バスターミナルに新たなデザイン領域を切り拓く
本プロジェクトでは、東京駅前に相応しいバスターミナルを実現する空間デザインをクライアントへ提案しました。まず事例調査を通し、誘導サインの乱立や、動線と待機 列の混在など、国内の屋内バスターミナルではサインと建築が各々に計画されているため、利用者視点で考えられていないことがわかりました。そこで、利用者にとって 分かりやすく自然に“ふるまい”が誘われるような体験設計、建築のみならず照明・サイン・什器すべてを統合した空間のトータルデザインを実施しました。バスターミナル には、乗降口に急いで向かう・発車時間まで寛ぐ・列に並び待機する等、目的と速度の異なる行動が共存しています。ワンルームを流動空間と滞留空間に分け、それぞれに 空間的特徴を与えました。外周の流動空間は、乗降口が一目でわかるよう列柱をサインボードとして活用するとともに、ライン照明を高天井に配置。照明器具は、『リニア 32』埋込型を採用、光が“道しるべ”となり、利用者の高揚感を掻き立て旅立ちに誘うようにしました。一方、ロビーや発券コーナーなどの滞留空間では、「夜空に浮かぶ、 明るい雲」をイメージし、有機的なフォルムの下がり天井を配置。外周部に配した間接照明により、視覚的に明るくやわらかな光環境を実現し、旅立ち前の安穏や非日常感を 演出しました。従来の公共交通施設は、全般的に明るい照度設計でしたが、本計画では“流動”と“滞留”という2つの相対する空間を際立たせ調和させることから公共空間 における新しい光環境を目指しました。バスターミナルは、公共交通施設として機能性はもとより旅立ちの非日常感を感じ取れる場であることが、本来あるべき姿と考えて います。このデザインディレクションという取り組みは、これまで建築家やデザイナーが介在しなかったプログラムに新たなデザイン領域を切り拓く挑戦と考えています。