ポーラ美術館 「モネ-光のなかに」展
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モネが描いた空の下の光を『Synca』で再現する。
お客様の声
モネが描いた空の下の光を『Synca』で再現する。
株式会社中山英之建築設計事務所 中山 英之 様
ポーラ美術館は2002年に神奈川県箱根町に開館。「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトとし、森に溶け込むような建物になっています。今回私たちは、展覧会の会場構成という、普段の建築とは異なるお仕事をいただきましたが、建築を作るように取り組みました。本展覧会では《ルーアン大聖堂》や《睡蓮の池》など、美術館のコレクションの中からモネの名品11点が紹介されています。
モネが描いたいろんな空の下を時空を超えて旅する『Synca』の光と共に。
美術館では、ふつう絵画には作品の数だけ個別にスポットライトが当てられます。一方、モネが実際に絵を描いたのは空の下でした。屋外には、対象の数だけ太陽があるわけではありません。今回の展覧会では、そんな大きなひとつの光をお手本に、美術館の天井全体を白い薄膜で覆い、天井と壁の境目にアールをつけて、どこまでも続く空のように、展示室の輪郭を消失させました。そして、その膜に上向きの光を照射することで、間接照明による影のない、ちょうど曇天の空の下にいるかのような質の光で、空間全体を満たしました。空の下、たった一つの光の下にいる。画家が風景と向き合っていた時に見ていたカンヴァスに、美術館の中でもう一度出会うような経験を作り出したかったのです。通常、モネのような近代の絵画に照射する照明の色温度は電球色2900K程度であることが多いのだそうです。時間帯でいうと夕暮れ時、ほぼ日没あたりの光に近い色温度です。一方今回は、日の出2時間後、日の入り2時間前の色温度に近い4800K(天井の膜に反射した絵画付近での計測値は4500K)に設定しました。これは、照明デザイナーの岡安泉さん(株式会社岡安泉照明設計事務所代表)と共に、昼間の自然光をイメージする5000Kに始まり、4900K、4800Kと100K単位で今回の空間や作品群とのバランスを確かめていった結果、辿りついた選択でした。これまでのランプやその後のLED時代では、再現が困難だった設定であると同時に、それぞれ描かれた時間帯の異なる11点の絵画を実際に見ながら、相対的なバランスを絞り込むことのできる、『Synca』ならではの機能だと思います。美術品保護の観点から、180lx以下になるように照度を微調整できるのも、欠かせない機能でした。さらに、モネが見たカンヴァスとは違う、絵画と私たちの間に存在する「ガラス」への反射を消すために、額と正対する壁の曲線や色を何度もシミュレーションしました。この壁には、ごくありふれた外装材であるトタンを用いています。色も既製品から選んだ、どこにでもある素っ気ない素材です。微妙な緑色も、きっと日本の風景色からとられたものでしょう。空の下、なんでもない風景にカンヴァスを据えたモネなのだから、むしろそれが相応しいと考えたのです。それら全体が、大きな一つの光で満たされたとき、カンヴァスと一緒に画家の見た風景たちへ時空を超えた旅に出るような・・・。そんなことを想像してこの空間を設計しました。これは余談ですが、無線調光システム『Smart LEDZ』のシーンセレクターハンディリモコンに、夕暮れ時(色温度2900K)をメモリーしておきました。例えば《セーヌ河の日没、冬》の前に立ってリモコンを押すと、その見え方の変化に誰しもきっと驚くことでしょう。かつて画家が見たであろう光が、『Synca』によって鮮やかに甦ります。