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間接照明は、器具の光を壁・床・天井に反射させる都合上、光のコントロールが難しく造作による失敗例も多い。
実際に、遠藤照明の照明プランニング部門には「自分で間接照明を設計してみたが、光がうまく伸びなかった」「実際に現場で間接照明を点灯してみたら想像と違っていた」などとお客様から相談が来ることもある。
やはり、間接照明のプランニングには細心の注意を払わなければならないようだ。
そこで今回は、間接照明でよくある失敗例と、その原因や解決方法を大公開する。
間接照明には、実にたくさんのバリエーションや施工方法がある。 前述のお客様の相談や、社員のヒアリングで最も多かった失敗談が「入隅部分に間接照明を入れたところV字型の光の線が出てしまった」というものだ。
間接照明の設計では、照明器具の光を壁面に直接当てるコーニス照明もよく使われるが、同手法を用いた場合、上記のように入隅(二つの壁が内向きに接したときにできる角の部分)にくっきりと光の線が見えてしまっている例をよく見かける。実際に、失敗例としてのお問い合わせも多いようだ(画像左)。
そこで、入隅部分に光の線が出ないようにするには、どのような方法が有効かを検証してみた。
壁面のコーニス照明で光の線の発生を抑えるためには、端まで光源を入れず、少し距離を取ることがセオリーとされている。
しかし、入隅の場合は光量は少なくなっているものの、十分に距離を取っても光の線はまだ残っている。
グレアカットアングルを深くすることで壁に当たる光量が減り、光の線はある程度目立たなくなったが、それでも完全に消えることはなかった。
照明の下にルーバーを設け、管軸方向の光を弱めてみた。
光の線は比較的薄くなっていたが、完全には消えなかった。
壁に直接光源からの光を当てる間接照明では、対策を行ってもほぼ確実に入隅に光の線が発生してしまう。
よって、光の線のない間接照明を作るには、造作を作りその中で光を反射させ反射光を壁に当てる設計をおすすめする。
その他、間接照明の設計でよくある失敗は下記の通り。
こちらも点灯して初めて知るケースが多いが、間接照明に隣接する壁や天井が原因の失敗例だ。
壁の鏡や、反射率の高い光沢感のある素材に光が反射してしまい、せっかく光源を隠した間接照明の裏側が見えてしまっている例だ。
事前に壁や床の材質を確認しておくことはもちろん、異なる素材に変更された場合にはすぐに関係者間で密に連携をとることも重要だ。
逆に、反射率の低い黒い素材や絨毯などが壁や床材に使用され、光が吸収されてしまうこともある。
こちらも事前に素材を確認し、素材と照明の相性を確かめるためモックアップを作成すると良いだろう。
こちらも意外とよくあるトラブルである。
間接照明の光源を隠す造作が、何らかの原因でプランニングとは異なる形で制作され、意図した光が出ないことも多い。
間接照明の器具や光源を隠す造作(アゴ)の形が、指定とは異なって制作されたことで発生する。
アゴが必要以上に大きく光をさえぎってしまうなど、現場で寸法が変わってしまうこともあるため、定期的に現場と連絡を取り合う必要がある。
アゴの立ち上がり部分が現場でなくなってしまい、光源が直接見える位置に露出してしまうこともある。
こちらも、プランニングがどこかの段階で変更されていないか現場と確認を取り合うことが必要だ。
上で述べた失敗は、特に施主・設計会社・施工会社・電気工事会社の四者間でのコミュニケーションの欠如が原因で起きることが多い。特に下記の3パターンに集約されるため、あらかじめ注意したい。
①天井、壁材の事前情報からの変更が照明設計側に伝わらなかった
②設計指示が現場に伝わらなかった
③現場調整上、設計の指示通りに施工できない状況となった
①は、設計書提出や素材の手配の際に変更点がないかなどをこまめに設計・現場双方に確認すること。
②は、現場担当者へのモックアップの共有やこまめな連絡など、コミュニケーションを密にさせることが必須となりそうだ。
③の防止には基本的には設計指示を遵守してもらうのがセオリーだが、計画を変更せざるを得ない場合は必ず変更前に連絡をしてもらうよう約束を取り付けておくなど、事前の取り決めが重要だ。
また、アゴの寸法や壁・天井の素材の範囲など妥協できるラインをあらかじめ決めておくことも、現場とのやり取りがスムーズになるため有効と思われる。
今回は、よくある間接照明の設計の失敗についてご紹介した。
設計自体のミスを減らしていくことはもちろんだが、施主・設計会社・施工会社・電気工事会社とのスムーズな連携や、お互いの業務への理解を深めることでも失敗を防ぐことは可能だ。
今回ご紹介したポイントの他にも間接照明に特化したお役立ちツールもあるため、ぜひご活用いただきたい。
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