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火には他の光源にない魅力がある。例えば、キャンプの焚き火と向き合う瞑想にも近い集中した時間。北欧の暮らしにあるようなキャンドルの光による癒しの空間。
とは言え、火を日常使いするのはやはりハードルが高い。そこで、現代の私たちの生活を支えるLED照明がどこまで火に近づき、火の魅力を再現することができるのかをテーマに実験を行った。
ろうそくや焚き火の光。あの赤々と燃える火の色温度は一体何ケルビン(K)なのだろうか?
まずは、ろうそくを実測してみた。
<用意したもの>
・ろうそく
・マッチ
・色温度計
<測定結果>
ろうそく:色温度1967K Duv+0
測定日:2022年1月26日 午後4時00分頃
測定条件:10cm離れて10回測定の平均値を求める
測定場所:ENDO東京ショールーム
測定機材:KONICA MINOLTA CL-500A
今回の実測結果としては、ろうそくの色温度は1967Kであった。
<用意したもの>
・薪
・着火剤
・色温度計
<測定結果>
焚き火:色温度1770K Duv-1
測定日:2021年12月9日 午後6時00分頃
測定条件:50cm離れて17回測定の平均値を求める
測定場所:服部緑地公園
測定機材:KONICA MINOLTA CL-500A
今回の実測結果としては、焚き火の色温度は1770Kであった。
乱暴だが、ろうそくの実測平均値1955Kと焚き火の実測平均値1770Kを、さらに平均すると1863Kとなる。火や炎の色温度はおおよそ1800K付近であるということが、まずわかった。
ディナーシーンをイメージし、それぞれ異なる光源を体感してみる。
<用意したもの>
・4人掛けテーブル
・ろうそく
・天井面に設置したSyncaダウンライト(型番:SXD1007W)2台
・照度計
目が慣れるまで待ってみたが、4人で食事をとるのは厳しい明るさである。
落ち着いてディナーを楽しめる、雰囲気と言える。ろうそくの点光源の光により食事の色・艶も非常に綺麗に見え、美味しそうである。特別な日などは、是非ろうそくを灯して、食事を楽しんでみたいと改めて思った。
Syncaの調光調色機能を使い、まずは、電球色と言われる今までの人工照明の下限値である2700Kを点灯する。今まで慣れ親しんできた電球色の光であるが、比較点灯すると、白々とした印象を受ける。ろうそくのような特別感は無い。
次に、実測したろうそくの1800KをSyncaで点灯してみる。点光源かつ揺らぎがあるろうそくに比べて、空間全体が照らされるLED照明は、赤い空間という印象が強い。しかし、今までの人工照明では実現できなかった赤い光と限られた明るさ(調光率1%)で構成された空間には特別感が生まれ、先程の電球色2700Kと比べて落ち着いた雰囲気が強調される点はろうそくと近いものを感じる。
今回の実験では、火の色温度を実測し、ろうそくのあかりと人工照明の比較を行った。
LED照明の魅力はやはり安全性。小さな子どもがいても安心して生活に取り入れられるし、換気や火の始末の心配もない。飲食店においても、この安全性はポイントである。今回足りない煌きは、小さな点光源のペンダントを吊り下げる等して補うことができると考える。次回以降、このペンダントと様々な色温度の快適な関係も実験してみたいと思う。
一方、現代における火の魅力は、集中との親和性の高さであったり、特別感ではないだろうか。そういった火の魅力を現代の空間に無理なく取り入れることは、新たな空間を描くことになるかもしれない。最近は焚き火の動画を楽しむ方もおられるという。火の完全な再現ではないにしろ、今回の実験4の色温度1800Kの光を添えることで、より楽しめる空間の可能性を感じる。
これまでにないほどの光色範囲を広げた「Synca」。火にどこまで近づけるのかという追求とともに、ある意味では火をどこまで超えることができるのかの創出が私たちの課題である。