食べ物がより美味しそうに見えたり顔色が良く見えたりすることは、コミュニケーションや健康にとって大切な要素だが、それには照明の「演色性」が大きな役割を果たしている。
今回は、ものの魅力を最大限引き出す演色性の大切さについてご紹介する。
そもそも「演色性」とは?
演色性とは、ひと言でいうと「その照明が色をどの程度忠実に見せるか」を示す基準のこと。
演色性を数値で表すには、JIS(日本産業規格)が定めた平均演色評価数「Ra(アールエー)」及び特殊演色評価数「Ri(i=9~15)」を用いる。
基準光の色の見え方を上限の100とし、ある照明が、どの程度基準光に近い見え方かどうかを測定している。例えば、「Ra90」の照明器具の場合、その照明は平均で基準光の90%の再現性を持っていることになる。
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高演色の照明器具を選ぶべき理由
演色性が低いと色が正しく見えない
一昔前のオフィスや病院などにあった白い光の蛍光灯を思い出してほしい。あの光の下で、なんとなく手や顔の血色が悪く見える経験をした方は多いだろう。
それもそのはず。一般的な蛍光灯の演色性はRa70程度と低く、色が忠実に見えていなかったためだ。
また、演色性が低い空間では食べ物や料理の鮮やかな色も忠実に見えない。食べ物の美味しさは見た目にも左右されるため、食欲がそそられないこともあるだろう。
いずれにしても、演色性が低い空間は避けた方がベターだ。
高演色の照明を使うべき空間5つ
コミュニケーションが発生する場所
「JIS Z9112:2019 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分」より
2019年にJISが改正され、現在照明の主流となっているLED照明における演色性区分が明記され、普通形と高演色形(クラス1~クラス4)における平均演色評価数と特殊演色評価数の最低値が示された。
R15の日本人の肌色も演色性の評価に加えられたクラス2は、ものの色や見栄えが重要視される場所や、相手の顔を見てのコミュニケーションを伴う作業が行われる場所で推奨される。
JISには法的な拘束力はないが、照明設計で最低限守るべき基準という位置づけであるため、人の顔を見たりコミュニケーションを取ったりする空間では、高演色の照明を使用することは強く推奨されていると言えるだろう。
医療機関
医療機関では多くの場所で高演色形クラス2の演色性が推奨されている。これは、患者の顔色や患部の色を見て診察や検査、治療などを行うことが多いためだ。
物販店のショーケースや試着コーナーなど
多くの物販店では高演色形クラス1の演色性が推奨されているが、ものの色や接客を特に重要視する高級店では、ショーケースや試着コーナーなどで高演色形クラス2が推奨されている。
オフィスの有人受付
オフィスの無人受付では高演色形クラス1が推奨されているが、一方で有人受付では高演色形クラス2が推奨されている。これは、企業の顔とも言える受付担当者の顔色を鮮明に見せるためだろう。
住居の食卓
レストランやバーなどの飲食店の食卓部分は高演色形クラス1だが、より親しい団らんのシチュエーションが想像できる住居の食卓部分は、高演色形クラス2が推奨されている。
これは、食べ物の見た目を忠実に見せるのに加えて、そこで過ごす人の顔もよりよく見せ、コミュニケーションをより円滑にするためだろう。
高演色形クラス2を満たす調光調色LED「Synca」
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演色性を活かした実際の空間事例
多彩なカラーの文房具を色鮮やかに演出!「デサキ 熊本嘉島店」
宮崎県の文具紙製品販売会社「株式会社出先」が2019年にオープンした「デサキ 熊本嘉島店」。
多彩なカラーがある文房具の魅力を最大限活かすために、演色性がRa96と非常に高い遠藤照明の「アパレルホワイトe」を採用。
商品の情報を正しくお届けし、お客様に楽しい時間を過ごしていただける光環境を提供している。
店内には多種多様の文具が陳列されている。撮影:梶原敏英
商品の魅力を最大限活かす演色性の高い光によって、空間全体の価値をも高めることができた。撮影:梶原敏英
「デサキ 熊本嘉島店」事例詳細はこちら
コミュニケーションには人の顔の見え方が大切!「Synca U/X Lab オンラインミーティング専用ブース」
Synca U/X Lab オンラインミーティング専用ブース
コロナ禍で広く普及したオンラインミーティングサービスだが、自分や参加者の顔色が悪く見えたり、相手の表情が読み取れなかったりした経験をされた方は多いだろう。
遠藤照明のオフィス兼ショールーム「Synca U/X Lab」では、そんなコミュニケーションの問題を解決し、成果をあげるために最適な光を追求したオンラインミーティング専用ブースがある。
ここでは、肌の色を鮮やかに見せる高演色のLED照明「Synca」を採用。また、肌と同じ暖色系の低色温度の光に調色し、柔らかい雰囲気を演出。さらに、顔に影が出ないよう上方ではなく正面の壁側から柔らかい光を当て、健康的で生き生きとした印象を相手に与えられるよう工夫をしている。
高色温度の照明に照らされると、血色が悪く肌がややくすんで見える
低色温度かつ高演色の照明で照らすと、肌の色が鮮やかで柔らかい印象になる
Writer
ヒカリイク編集部
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