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『Synca U/X Lab』では、屋外のような光、緑、香り、音を再現したアウトドアリラックスゾーンが設けられている(撮影:ナカサ&パートナーズ)
みずみずしい植物を取り入れ、室内外を緑化するバイオフィリックデザイン。自然を感じられるデザインは、オフィス環境のストレス緩和や心地良くウェルビーイングな環境をつくり出すことに効果があると注目され、近年多くの空間に取り入れられてきた。そうした植物たちは、実際どのように育っているのだろうか。健康な状態を保つため、日々のメンテナンスはどのように行われているのだろうか。バイオフィリックデザインを導入した空間のその後をレポートする。
東京・四ツ谷の遠藤照明のオフィスに設けられた体験型オフィス『Synca U/X Lab』には、エバーフレッシュ、シェフレラ、フィカスなど、13種類もの植物が取り入れられ、屋外のような光、緑、香り、音を再現したアウトドアリラックスゾーンが設けられている。自然光が差し込まない室内空間だが、ここでは、植物を健全に育成するための光環境に加え、風、温度、湿度などを適切にするための工夫が凝らされている。2021年秋にオープンし、約2年が経過した現在、植物たちはどのような様子なのだろうか。
バイオフィリックデザインが施されたゾーンに一歩入ると、植物の生き生きとした気配に包まれる。キラキラと光を反射する葉、鳥の声のサウンド、ほのかに漂うアロマの香りも相まって、オフィスとは思えないリラックスした心地良さが感じられる。植物たちは新芽をつけていたり、花が咲いたりと、順調に育っている様子が伺える。
バイオフィリックデザイン導入の計画から関わり、当初から愛情を込めて植物の世話を担当した、大阪商環境ソリューション部の廣中 淳さんに普段の手入れについて聞いた。
「毎日葉っぱに霧吹きをして、週2回水やりをしています。手入れの際には、葉の表面のホコリをティッシュでふいたり、カイガラムシが発生したら手で一つ一つ除去します。その他、月1回は植栽施工を担当した専門業者によるメンテナンスがあります」
話を聞くと、かなり手厚くメンテナンスしている様子がわかる。しかし、最初は植物の知識も、育てた経験もなく、手探りからのスタートだった。
「植物のことを知らない素人でも日光の差さないオフィス内で植物を育てられれば、実績になると思いました」と廣中さんは振り返る。植物の専門家に教わりつつ、本で調べるなどして、試行錯誤を繰り返しながら、習得していった。
中でも手を焼いたのは、カイガラムシの大量発生で、一時期より落ち着いたものの、今でもこまめに除去している。エバーフレッシュが新しい環境に慣れるために一時的に葉を落としたときは、枯れたと思い慌てて専門家の指導を仰いだこともあった。加湿器や霧吹きなどの対策をした結果、現在は見事復活している。今のところ枯れた植物はなく、花や実をつける品種もある。その秘訣は、丁寧な手入れと共に、植物と人が共存する最適な室内環境をつくり出したことにある。
まず、光環境としては、調光調色照明「Synca」を採用し、日中はサーカディアンリズムに沿った一日の光の明暗の変化を導入しながら、夜間に植物の葉や茎の成長に必要な青色の光と、光合成に必要な赤色の光を照射している。また、スポットライト型の空気環流システム「fu:ryu:®(フーリュー)」により、空気を滞留させず、循環させていることも植物にとって良い環境になっている。
「植物に必要な明るさは一般的に2,000lxと言われていますが、そのまま照射すると人間が働く環境としては眩しすぎます。ここでは、植物と人が心地良く共存できる環境を実験するため、日中は人の活動主体に、夜間はピンポイントで植物に必要な光を与えることで、健やかな育成を促しています」(廣中さん)
実はその後、廣中さんが転勤となり、日々のメンテナンスは当番制になり、植栽の管理は商環境ソリューション課の石嶋 義彦さんが引き継いでいる。「廣中さんが異動になったことで、植物のメンテナンスを社員交代で引き継ぐため、勉強会を行いました。現在は週2回15分ほど、2名の社員で手入れを行なっています」と石嶋さん。
こうして多くの社員が植物に触れ合うようになった結果、社員アンケートでは、バイオフィリックデザインを取り入れたアウトドアリラックスゾーンで休憩すると、疲労感の軽減、リラックス効果があるなどの回答が得られた。
日々の手入れにより、小さな変化を見逃さない。細やかなメンテナンスは、植物と付き合っていくという強い思いの賜物だ。レンタルした観葉植物やフェイクグリーンをただ眺めるだけではなく、こうして手を掛けているからこそ、芽吹きに気づき、花を愛でる喜びが生まれるのだろう。小さな感動を共有することで、社員のコミュニケーションの円滑化や職場のリフレッシュ効果も広がっていく。
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