真壁
そういう普段なかなか気づきのない場面をズームアップというかフレーミングして、今回プレゼンテーションしているんだけれども、少しプランニングという計画の中の話で、まず村角さんのほうから、ここの三つのテーブルのあかりのプログラムとコンディションを説明してくださいますか。
村角
会場に入ってきたときに、昼間の太陽の光を浴びたテーブルや椅子の座面が発光しているというのは、とても美しい世界だと思うんですけれども、ただそれだけを見せてしまうのではなくて、やはりもう少し暮らしや生活観のようなものが感じられたほうがいいなと考えました。
トラフさんのアイデアというのも、帰ってきた瞬間の話なので、昼間はどうなっていたのかなという、自分が外出していた昼の時間は、もしかしたらものすごくきれいな太陽の光が差し込んでいて木漏れ日がそこに落ちていたかもしれない。そういうあかりというのは、家に昼間にいなかったら絶対見ることができないんだけれども、このテーブルの上に痕跡が残っていたら、その木漏れ日を見ることができるし、楽しむことができると思ったので、一つ、そういうテーブルがあればいいなと思いました。
真壁
あれがそうなのね。
村角
はい、一番手前のテーブルですね。あえて葉っぱの影をテーブルに落としています。もし帰ってきた瞬間にこれを見たら、「ああ、今日は天気がよかったんだな」とか、「こんな木漏れ日がテーブルの上に落ちてたんだな」ということが、すごくうれしいんじゃないかと思ったんですね。そして真ん中のテーブルは、真上からフレーミングスポットで四角い光を二つ落としています。
真壁
しかも均質なのね。
村角
均一ですね。影がパッチリ下に投影されますよということで、もみじの葉っぱなど影がおもしろいものとか、ディテールが楽しめるようなものを置いているテーブルです。
真壁
そうするとこの真ん中は、帰ってきた風景というよりも、帰ってきてから闇を楽しむとか、なごむとかというようなシーンかな。
村角
そうですね。ここでまたもう一遊びしようみたいな。鈴野さんが一番好きなテーブルのような気がしますけれども。
鈴野
本当はビシッとテーブルの形通り、寸分の狂いもなく当てられるんですけれども、逆にそうすると、光が当たっているときと闇で発光しているときが同じになってしまうので、あえて少しずらしたんですよね。
村角
実験で、どのように三つのテーブルの個性を持たせていくかということをいろいろ一緒にやっているときに、たまたま資料の紙がここに並べてあって、それが少しずれていたんですけれども、そのずれている影がまたすごくきれいだったんですよ。それで鈴野さんが、「じゃあ、ずらしても何かおそろいのずれずれができて楽しいかな」なんておっしゃったんですよね。
真壁
この最後のテーブルはどういうふうに考えたものですか。
村角
「くらしとあかり」なので、やはり暮らしにおけるこのテーブルの役割というのは、ダイニングテーブルがメインになってくると思うので、食卓を想定したテーブルが一つあったほうがいいかなと思いました。それでペンダントを二つともし、キャンドルがあったり、食器があったり、リンゴとかワインとかそういう食にまつわるようなものを置きました。一番暮らしを連想しやすいテーブルなのではないかと思います。