照明デザイナーお二人をお迎えし、昨今の技術の進歩にともなう、照明の新しい在り方や更なる変化について、弊社調光調色「Synca」をご使用いただいた事例を通して、お話しいただきました。

Guest speaker

内原 智史 Satoshi Uchihara(照明デザイナー/有限会社内原智史デザイン事務所 代表取締役)
京都生まれ
1994年 有限会社内原智史デザイン事務所 設立

 

主なプロジェクト:「東京国際空港羽田第2ターミナル及び国際線旅客ターミナル」「Ootemachi-one」、「Hareza 池袋」、「京都悠洛ホテル二条城別邸 Mギャラリー」、「日本橋室町三井タワー・コレド室町テラス」等
1994年より平等院、銀閣寺、清水寺などの京都寺院のライトアップ
2003年より六本木ヒルズクリスマスや羽田空港のイルミネーションなど多数手がける。

https://www.ucld.co.jp/

  • 日本橋室町三井タワー・コレド室町テラス
    写真:鈴木文人

  • 京都悠洛ホテル二条城別邸 Mギャラリー
    写真:株式会社ナカサアンドパートナーズ

松本 浩作 Kousaku Matsumoto(照明デザイナー/有限会社スタイルマテック 代表取締役)
⾹川県⾼松市生まれ
大光電機 株式会社 TACTデザイン企画室
株式会社木谷デザイン事務所を経て、1998年 有限会社スタイルマテック 設⽴。照明を基軸にあらゆるデザイン活動に参加。

 

主なプロジェクト:「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」「御堂筋イルミネーション2018」「新電元工業朝霞事務所」など
(社)照明学会 照明普及会での「日本照明賞」「照明デザイン賞」「優秀照明施設賞」をはじめとして、「JIDスペースデザイン賞」「IES(北米照明学会) Illumination Award of Merit賞」など多数受賞

http://www.style-matec.co.jp/

  • ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ
    写真:NACASA & PARTNERS INC.

  • 新電元工業朝霞事務所
    写真:川澄・小林研二写真事務所

見逃し配信

参加者の声

・施主の要望や知識をデザイナーとして採用する苦悩にまさに直面しており、とても参考になるお話でした。 お施主さまの気持ちを採用するお気持ちに沿ったデザインをすすめてらっしゃるところにとても感銘しました。
・Syncaへの関心も強まりました。まず聞けないような内容でしたので、今までで一番興味深く拝見させていただきました。
・もう一度聴きたいくらいです。本日の御二方様がおっしゃられていた通り、進化や変化でなく今までに無い光源が出て来たと思います。

イベントレポート

事務局「本日は「事例集:最新号発刊記念」と題しまして「照明デザイナー2名が語る、最新照明事例に現れた変化」として進めて参りたいと思っております。

 

今回弊社より新しい事例集『Synca特集号3』というのを発刊させて頂きました。次世代調光調色『Synca』もお陰様で現在、日本全国の多くの施設様にご採用頂いております。この『Synca』、オンラインイベントでも何度もご説明させていただいているんですけど、1台3役ということで、 ①1800Kから12000Kまでの幅広い色温度 ②121色のカラー演出 ③赤み緑みといった色味の調整ができる照明器具のシリーズとなります。ラインナップもかなり充実して参りました。おさらいとして、この『Synca』の概要をご説明しております1分動画をまずはご視聴いただきたいと思います」

事務局「2020年8月に次世代調光調色『Synca』発売させていただいてから、3号目となる事例集を作成して参りました。今回の『Synca特集号3』は「変化が随所に現れた」と、とても感じた事例集でした。 ということで掲載されている事例を紐解きながら、内原様、松本様とその「現れた変化」について、ディスカッションして参りたいと思っております。
まず初めに、本事例集に掲載されている内原様のご物件、天台宗青蓮院門跡様の照明デザインについて内原様よりお話をいただきたいと思います。」

光とともに紡いできた歴史と文化を次代へつなぐ『Synca』が照らす夜の幽玄

青蓮院という場所について
「ご門主は、光に対して非常に思い入れの強いお方で、我々が他に企画しているイベントにも登場いただいたりしております。青蓮院っていうのは、比叡山の延暦寺の京都市中にある三門跡寺院の一角を担っていて、広く市民に教えを広げる為の非常に重要な役割を担っているんです。天台宗の中でも本堂が熾盛光如来で、この熾盛光という字を見ていただいても分かるんですが、非常に光に縁のある、大日如来様自体もそうですけれども、その頂きというか、頭の上のてっぺんの一番中心におられるのが熾盛光ということで、 光を身に纏って自ら発光しているような存在で、人々に光を与えるような、そういう仏様なんです。場所は京都の東山で知恩院とか有名なんですが、いわゆる祇園の四条通りより少し北側にある、是非一度足を運んでいただければと思います。建物自体はこういうふうな形で、今回全体に関わる部分のLEDの改修ということになりました。」

クライアントからのリクエスト
「実は 我々が『Synca』どうですか、って言ったわけではなくて、ご門主の方から是非検討してほしいということがスタートとなっています。今見ていただいているのが革頂殿と言って、この相阿弥作と言われている日本庭園のお庭を一望できる非常に見晴らしのいいところがあって、その向かいに小御所という建物があるんですが、そこには上皇様をはじめ、今までの代々の天皇を迎えるための施設が対になっているという感じです。『Synca』を使いたいという希望があって、我々としては計画をしたんですが、ふんだんに演出をするというよりも、基本的にミニマルで、それぞれの部屋の環境っていうのは、沢山照明を盛り付けるわけではなくて、照明器具をあまり使いすぎないような計画で進めようというようなことで進めて参りました。ここは丁度お茶席にもなったりして少し行燈などをあしらって、対面の見合いの景観も含めて、庭を挟んで楽しんでいただくような恰好になっています。」

「要は演出と先ほどの『Synca』の紹介にもありましたけれども、我々がストレスのない健康も含めて、どうしてもユーザーさんはお客様のために色々と色を変えたりしたいっていうことが出てきたりします。その中で柔らかく変化する全体のプログラムに加えて、時折シーンセレクト出来るようなスイッチを設けたり、お施主様自らスマホにダウンロードしたデータでコントロールしたり、というふうなことをやっています。今見ていただいても床の間や飾り土間、それから空間にはダウンライトをミニマルに計画しているので、配灯箇所としては非常に少ない景観となっています。」

「調光のモードは色々と行事に合わせてですが、庭を楽しんでいただくためのセッティングやお客様がほぼほぼに安心して、空間移動していただくための明るさをコントロールしながら、催しにも対応していくというような形で進めています。」

「今回『Synca』の色味、これ現場で調整をして、写真に撮って、非常に鮮やかな色に見えていますが、むしろこう色彩を取り込むというよりも、その折々の雰囲気を楽しんでいただくいうことで徐々に庭を楽しんでいると、周辺環境としては色順応していくので淡く溶け込んでいく、そういう雰囲気になろうかと思います。ですから直接色をプレゼンテーションするというよりも、ここに書いてある青光とか、黄昏とか、朝露とか、そういうようなイメージを淡く周辺環境の自然と溶け込むような形で、色味を是非使っていこうというようなことで現場は中々大変だったんですが、最終的に収めることになったというふうに考えています。」

「次の間は、小御所になります。先程ご説明したように、この上座の設えがあって、ここにご皇室の方もお招きできるような体裁ということで全体の空間が構成されています。そこも同じような発想ですけど、少し全体の設えの中で、襖とか壁画を楽しんでいただいて雰囲気を作っていくような計画をしています。」

「この華頂殿から小御所にわたって移動したその先が本堂になってます。先程お話したように本堂の御本尊様は熾盛光の光の仏様が奉られていて、ちょっと道に逸れるかもしれませんが、本来はそのご本尊様は一般の人には目に触れてはいけないということで、御開廟を何百年とされてなかったんです。当代のご門主は、それよりも皆さんに知って頂こうということで、熾盛光をご自身の代の時に、御開廟、つまり門を開いて皆さんに見ていただく催しもされました。
群青一色のブルーの中に、「ボロン」という字が刻まれているシンプルな御曼荼羅なんですが、とても数百年の歴史を経たっていうふうには見えないぐらい鮮やかな色彩でした。その御本尊がご安置されている、丁度背中合わせに今見ていただいているお堂がございます。そのお堂に奉られているのがこの青不動です。えっ?て思うように、青不動が赤く見えているんですけど、これが国宝になります。ここにあるのはレプリカで、京都の東山に将軍塚という同じ青蓮院の所領があるんですが、そこの新たなお堂に据えられています。まさに国宝の青不動の絵というのが、このカルラという火をまとった絵になってまして。光と火の関係があるこのお寺の所以で、この本堂の青不動の間というのも非常に神経を使われておられている場所です。この空間を今までは天井から裸電球のようなものが吊るされていたものを少し改修させていただいて同じように調光でコントロールできるようにしております。」

「建物に沿って寝殿に入ると、周りをぐるっと周れる回廊の廊下がございます。行燈が先ほどのく華頂殿の行燈と少し寸法の違うものが入っています。青蓮院の御門を刷り込んだような形で、菊の御門ですが、そこに水という真ん中に字を配した特別の御門があります。先程もお話したように青蓮院門跡っていうのは、この東伏見様が宮家のご出身の方で、昭和天皇の皇太后の弟君が先のご門主だったんですが、天皇家とも非常に所縁があって、お寺の御門にも菊の門が配されてるというようなことが非常に特別な場所です。
こういう木造建築にダウンライトを入れるっていうのは非常に気を遣うところなんですが、今まではシーリングライトや、ちょっとペンダントふうの所謂和風の器具がぶら下がっていたものを一掃して、なんとかダウンライトを掛けさしてもらいました。結果的には、建築的には元々天井に照明がついていない歴史の方が長いわけですから、ダウンライトにして良かったと言っていただきました。 寝殿を取り囲む、この通路の環境の中から、この土壁がずっと繋がって見えます。ここの間接照明は二十数年間、5Wのイルミネーション電球が連なっている間接照明を未だに使ってまして。柔らかい壁のアップライトは白熱灯のなんです。LEDと白熱灯って中々相性があまり良くないかなと思ってたんですが、やはり色味の再生力っていうところもLEDがどんどん進化していく中で、その白熱灯の光感動と繋がるっていうことも今回やってみて、さほど抵抗は無かったかなというふうに思っているところです。ですから大きな色味のレンジがある中で、徐々に自然の光、自然光っていうのは人工光ですが、私は人工光の中でも最も自然と近い光源だと思っているので、そういうものとの親和性みたいなものも高いな、というふうに感じました。先程の華頂殿って、最初に見ていただいた真ん中にお庭を挟んでますって言っているお庭を実は未だにハロゲンで、二十五年間も使い続けている器具がボロボロになりながらも横たわって配置され、ハロゲンと一体的な空間となっています。」

「寝殿の正面になる空間、この辺りで色んな法要をはじめ催事がありまして、その空間を、正面を一新したという形になります。この辺りは非常に照明調整の時にも時間を掛けて、実は遠藤照明の亀井さんをはじめ白石さん、このお二人には本当にお世話になりました。何回も現場に呼ばれては来て下さるんですけど、本当に最後まで気持ちよくお答えいただいて、完成に至ったかなというふうに思っています。」

「丁度この椅子の施しの空間とか、ちょっと分かりにくいんですけど、中央の観音様がおられる部屋の左右にもお部屋があって、そういう立体的な空間が透けて見えてくるんですけど、その空間を生かす上での今回のLEDの改修っていうのは結構上手く調整ができたかなというふうに思っています。」

「この空間も同じような環境で、写真の構成上の色味が非常にはっきりと見えてますが、もう少し実際には淡くてその空間に立ち入っていくと徐々に色味が薄れていきながら自分の目が慣れていくというような環境になっています。下の写真ですがこれ廊下にこういうガラスの昔から使われてるペンダントがあって、この部分はこのペンダントを残したいっていうふうに私の方からもお願いをしました。これはランプを入れることによって、同じような演出ができました。遠藤照明のラインナップの中にそういうランプが増えてきてるっていうのも、ユーザー側のニーズに応えて、そういう開発の要望が増えているんだろうなというふうに思っています。古い器具をそのまま使って、ランプを変えるだけで空間的な効果っていうのが、これだけ飛躍的に変わるっていうことを実感しました。」

「寝殿の周りには少しこういうちょっと展示のようなスペースもあったり、また、古くなった建物ですが、随所にちょっとした工芸やアート的なものもあしらわれている。そういうものを少しコントラストをつけて、ランプの位置に工夫をするだけで今までの環境がガラッと変わったわけです。」

内原「今回のこのプロジェクトを通してですけど、制御プログラムは中々大変だったんですけど。照明メーカーさんの技術と、それからユーザーさんが冒頭でお話ししたように、もう既にLEDっていうのは何でも出来るんだよねっていうような期待も含めて、色んな情報や知識もお持ちになって、その中でデザイナーがどう橋渡しをするかっていうのは、この先色々と今まではデザイナーがベストと思う形や、表現ということを説得するっていう作業が主だったんですが、これからは我々はこの仕事を通して、やはりその技術とニーズをうまくコーディネートする。しかもそれが最終的に使われていく中で調整をするクリアランスも含めて、ユーザー側にカスタマイズ出来る。そうするとデザイナーが一旦あるきっかけを作ったとしても、それはユーザーによってまた変化する可能性も秘めてるということです。それは長いお付き合いの中で、どうあるべきかっていうことも色んな経験や言葉を通して、そのキャパシティというか、光に対する興味や理解、そしてどうしたら良くなるかっていうことをユーザーにも経験いただきながら進める、そういうパレットとして今回のインターフェースっていうのは、非常に有効だったんじゃないかなっていうふうに思ってます。色々その途上は大変だったんですけれども、無事にこういうプロジェクトを通して、また光の魅力を伝えられたかなというふうに思ってますし、今後もそのモニタリングを続けられるプロジェクトとして、また遠藤照明にも参画をいただいて、これから先五年十年続いていくと思いますが、色んな意味でご一緒していただければ、そんなふうに思っています。」

素材に最適な光を、自由自在に、現場でセレクト

イトーヨーカドー加古川店

大幅改装された店舗です。高さ3~7メートルの斜め天井に加えて柱の無い店内にトップライトからの自然光が差し込むとても心地良い大空間になっています。セブン&アイグループとして、「GREEN CHALLENGE 2050」と題して様々な取り組みをされている中でCO2排出量削減の一環として照明に関してもLED照明の採用はもちろん、トップライトからの光や什器と照明の関係性などを、凄く読み解きながら各エリアで光を最適化されています。無線コントロールシステム「SmartLEDZ」をご採用いただき、明るさの設定を細かく調整をされています。微妙な色温度と微妙な明るさの調整をして結果的にエネルギー削減も実現されました。

今回、次世代調光調色『Synca』によって食品毎の最適な光っていうのをチャレンジいただきました。一例としては青果売り場、ピーマンとかキャベツとか売ってるとこですね。そこの色温度をまず4100Kに設定。『Synca』は100K単位で色温度を設定することが可能です。青物があるので色味調整によってDuvをプラス6、ちょっと緑味を追加されました。ピーマンとかの青物が決して過度な演出ではなくて瑞々しく見える売り場になっております。緑味に振るっても、赤いトマトは凄く美味しそうに見えました。更に食品毎のこだわりということで、今回こういうサラダのショーケース、 煮物のショーケースなど、こだわりのお惣菜に関してのショーケース毎に最適な光をセレクトいただきました。この案件では、『Synca』の一台三役、色温度は色温度、カラーはカラー、色味調整は色味調整という垣根を越えて、商品に本当に最適な光っていうのを素直に選択するということを教えていただきました。

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施設の運用に応じて、光を変化させ、空間を豊かに

四季折々の景観に寄り添い 歴史的な“しるべ”を灯す『Synca』の光

「近江八幡っていったら、建築を学んでおられる方は、ウィリアムヴォーリズが長くここにお住まいになって、ヴォーリズの建築もたくさん残ってる町でもあります。近江兄弟社、メンソレータムでも有名です。所謂、近江商人の発祥の地とも言われています。元々このライトアップに関しては、町興し的な印象ってのはもちろんあるわけですけど、近江八幡市へ訪れる観光客は、結構多くいらっしゃるのですが、滞在時間がなんと3時間ぐらいなんです。出来る限り滞在時間を長くして、出来るだけこの街で色々なお金を落としていただこう。という事もあって、夜のライトアップの企画に基づいて、コンペがなされた経緯があります。とはいえ、このライトアップしたからといって人が増えるわけではありません。その周辺の観光名所や宿泊施設の充実も当然一緒にやっていき、我々としたらライトアップをすることで、ゆくゆくは多くの人に来ていただく。ここ行って、あそこ行ってと遊んでいただいて、近江八幡市でお金を落としていただく。というふうなことが出来ればなということで、観光モデルケースみたいなものも同時に提案したりしてました。」

八幡堀のライトアップをきっかけに観光客を増やしていく
「実際のコンペとして行われたところっていうのは、このたかが50mぐらいのお堀なんですけれども、実は我々としては、特に観光で訪れる方が見るであろう、この大体3倍の150mぐらいの範囲内を提案をさしていただいております。加えてこのお堀から半径500m範囲ぐらいまでの間に存在する、観光施設であったりとか、歴史的な場所、車で来た人には駐車場がどこにあるかとかも含め、 町を上げてこの八幡堀のライトアップをきっかけに、多くの環境客に来ていただくというような試みの為の提案をしました。」

「導のあかり」というテーマ
「導というのが色んな意味を持ってまして、まちづくりの導であったり、時の導であったりというふうなことで沢山色んな意味を含めて導というコンセプトを提案しました。やはり特徴的なのは、このお堀に面したこの石垣とそれから水です。それから、船で観光される方もいらっしゃいます。手漕ぎ船も未だにあって、今ちょっとコロナの関係で中止はされてますけれども手漕ぎ船でゆったりとこのお堀を巡っていくっていうようなこともあります。先程申し上げたように夜間を含めた滞在時間の延長を図るということが大目的というところで、ライトアップの提案を我々の方からしました。導のあかりを具体化する際に、近江八幡ならではの特徴的風景というのを作るために、風至、水、風景、四季、演出というところで、そういったキーワードを作りながら提案しました。」

「具体的にどうしたかって言うと、まずは先程ご覧いただいたように、水と石垣とはあるんですけど、それからあの蔵ですよね。非常に古い蔵が沢山あるんですけども、実はこのお堀の周辺っていうのは、公的施設だけではなくて民間のご自宅もあります。民間なんですけども蔵はちょっと昔風にアレンジしてたりと、検討・調整いただいています。ですのでライトアップだからといって、民間の家に光を投げ入れたりとかは出来ない。結構デリケートに光を作っていく必要があるなと、当初調査に行った際に感じました。

 

簡単に言うと、下から色温度を徐々に上に行くに従って、高くなるに従って、色温度を上げていくっていうことと、沢山の今言った繊細に光を重ねていくってことで、色んな質の光、伸ばした光、拡散光であったり、スプレット光であったりっていうものを重ねていきました。同時に、今回一番気を付けたのは、沢山の視点場があるんですけど、高い位置、低い位置、船からの目線、それから土点を歩く人の目線とか沢山色んな目線があって、どの目線からも夜間照明ですので、夜間照明において私は持論としてはグレアっていうのはあってはならんと思ってますので、とにかく眩しくないように配慮をしました。先程の色温度が下から上に徐々に変わっていくようなコンセプチャルな考え方をしたわけです。何よりこの堀と堀の水と石垣っていうものをいかに特徴的に見せてあげるかっていうことを考えました。八幡山っていう山があるんですけど、この山っぺりに冬場になると所謂西高東低の気圧配置になると北西からの風が吹きます。北西からの風がこの山裾を抜けて、この堀を抜けてくっていうことがあって、冬場は非常に寒い堀、それから風が強いっていうふうに言われてまして、であるにも関わらず川なんですけども、一応琵琶湖からの水を引いてますんで、ゆっくりとしか川の水は流れていないというのも特徴でした。風が抜けるっていうことで、風を何らか表現できないかっていうことで、風で水面が動くことに対して、光がこうして、水面の反射をそのまんま、専門的に言うと臨海角ぎりぎりで光を投げ入れて、水面の上でぎりぎり跳ね返った光を対岸の石垣に出すというようなことの試みをしました。」

「残念ながら図面も殆ど残ってなかったので、全部手書きで書いてるんですけど、考え方を書いてます。各セクション、セクションでここからこう光を投げ入れてっていうふうなことと、同時にこんな種類の光を使ってというようなことで、これはですので先程言ったコンペのエリア以外のゾーンも計画を既にしております。上手くいけば、また仕事が続いていくようなことも考慮して、その時の細かな配慮、光を投げ入れない、どこからどこを照らしてどう見せるかっていうようなことをずっとカット絵で書いています。

 

先程蔵が見えたと思うんですけど、殆どこれ民家なんです。なので夜9時以降はもう民家の方に光が入らないようにしたりとかっていうことでも、そういった意味でも、屋外における調光というのも今回大きなテーマでした。

 

我々がプロジェクトに関わる時に大体2割ぐらい3割いく時もありますけど、そのくらいは新しい事をそのプロジェクトで取り入れたいって常々思っていて。今回の場合は新しい事っていう意味ではアウトドアにおいての調光を考えるっていうことと『Synca』の導入によって、1800Kから12000Kまでの色温度バリエーションの中のどこかの色温度を抽出する、あるいはDuvの変更も含めて、重ねていくレイヤー、光をこうずっと色々重ねていくわけですけど、重ねていくレイヤーの1つとして、そういう新しい光っていうものを加えたかったっていうのが、今回のこのプロジェクトにおける我々の内部的な話ではありますけどテーマだったかなというところです。」

光を重ねてコーディネートしていくこと
「当然周辺のこういった建物、ヴォーリズの建物なんかにも提案はしてたんですけど、現実的にはコンペとしては、施工としては先程の50m間には今留まってるんですけど、是非足を運んでいただいて、夜のこの八幡堀ならではの景色をご覧いただければというふうには思っています。この細かい表は細かくご覧いただいても分かりにくいとは思うんですけど、これ1つ1つが1つのレイヤーだと思って頂いたらいいんですけど、レイヤーを1個1個重ねていって、その時間軸で時間帯、時間帯によってそれぞれ表示を作っていくというようなことを考えました。この上、遠藤って書いてあるゾーンが、『Synca』のエリアになりますけれどもフォーシーズンに比べて桜が1番分かりやすいと思うんですけども、桜の咲く時期っていうのは、たかが1週間ぐらいが、花が咲いてる時期なんです。その後は花が散ったら今度は緑の葉っぱになり、夏になると今はもうまさにそうですけど、緑の葉っぱだらけっていう状態になり、秋口になると紅葉して葉っぱが落ちていく状態になります。冬になると枝だけっていう状態になるわけで、そういった四季の変化に対しても、光が追従していくような状態で我々は提案しました。先程冒頭にビデオでご紹介あったように、121色の色も出せるっていうことで、桜の時期には、ここペールピンクっていう色を今回採用してるんです。ペールカラーのピンクであったりとか、白はわざわざ混在させてコーディネートしています。」

「これが春のシーン。冬のタイミングで撮った写真なので分かりづらいですけど春の、時間帯が早い時間帯で、これが9時になると減光して、時間帯によってフェードして変わっていくんです。」

「今の夏なんかは冬枯れした枝に光を照らしてるので、Duvも+6まで持っていって、少し緑をやっぱ足し込んだ状態にしています。今度秋口になると、赤系です。Duvマイナス方向に持っていって、実際これは紅葉した葉がついてるという状態だと想像はしてるんですけれども、こういった形で計画しました。」

「特にこれ春の桜の時期には、たまたま写真を撮ることができたんですけど、こういう例えば風が吹いてない時っていうのは、こういうふうに鏡のように殆ど水の流れってのは無いので、鏡状態になるもう池みたいなもんです、池みたいな状態になるっていうことも特徴です。」

「伝統建造物保存地区っていう状態なので、スポットライトがぼこぼこ出てくるっていうのも、出来るだけ避けたい。現地にある本当の石に似せた擬岩を作って、その擬岩の中にスポットライトとか、所謂電源装置であったりとか、所謂アウトドアの無線の受信機であったりとかっていうのをこの中に全部入れ込んでしまって、環境にも配慮したというようなところです。土管というか、下水の配管もぼーんと出てたんですけど、あまりに不細工だったんで、その配管を隠すのと同時に、ここからメインの幹線の電源が下りてってるんです。先程言ったように、八幡堀川って一級河川なんです。一級河川ですので河積って言って、川の面積を削減してはいけないというルールがありまして、ですので実は川の中に照明器具を設置してはいけないというルールがありました。それをあの県の土木の方にも何度も掛け合って、最終的には仮設っていうことで、ご認可をいただいたんで、いつでも外せる状態なんです。持って帰れないように土の中で工夫はしてるんですけど、そういったために、凄い数の配線が出てくるんです。1個1個が1本ずつ線が出てくるんですから、それを全部隠して、1箇所から下ろすためのカモフラージュっていうようなことも考えたりしています。ざくっとですが、我々が関わったこの八幡堀のライトアップっていうのはこんな形でお作りさせていただきました。」

最新照明事例に表れた変化

事務局「今回のテーマは変化です。どうですか、内原さんのご物件に始まって、松本さんのご物件まで11のご案件を例として、最近の変化についてどんなふうに思ってらっしゃるのか教えてください。」

松本「今、1番最初のプロモーションでは次世代調光調色『Synca』っていうふうにコマーシャルされてるんですけど、僕はそれもそうなんですけど、あんまりそうとは思ってなくて。僕はどちらかというと、その変化もそうなんですけど、新しい光源が出来たっていうぐらいの勢いを感じていて。つまり1800Kから12000Kまでの色温度を自由に選択出来て、1000Kごとですけど、一応自由に選択出来て、且つDuvも+6とプラスマイナスに持ってけるっていう、それでいながらほぼ黒体軌跡上光が動いて、RHでいうとこの84から92ぐらいまでの間で殆ど留まってるっていうところがなんかすごくて。所謂調光調色っていう動きの話の延長線上ではなくて、従来例えばナトリウムランプ2200K、白熱灯2700Kで3000K・・・水銀灯6500、っていうぐらいのチョイスしか我々出来なかったものが、その幅が著しく広がって、その1個の色温度をチョイスできる。しかもそれを時間帯で変えることが出来るっていう意味の新しさ、変化というものを僕は凄く感じています。
且つ既にアウトドアの『Synca』も出ましたけど、アウトドアでも無線によって調光が出来るっていうのは、昔、長寿命を糧とする方のアウトドアライトってせめて蛍光灯、白熱電球を外で使うっていうのはもう大体行われてた世界です。放電灯っていう長寿命光源というものが一般化してきた中で、LEDという長寿命で調光が出来るっていう意味では、所謂昔、間引き点灯みたいなことになってるわけですけど、それが表情を変えながら調光もして減光していけるっていう意味の変化は、僕は凄く大きいなというふうに感じています。」

内原「今回『Synca』っていうのは私もまだプロジェクトにするっていう意味ではそんなに沢山やってないんで、これから勉強していかなきゃいけないなと思ってます。ライティングデザイナーが、光を変化させる、あるいはそれがユーザーの求める変化か、とか、この自然の中で感じる我々の光に対する美意識って、実は故意に変えるっていうことではないんじゃないかっていう思いと、その自然と同期する同居するっていう流れの中で、我々が例えば夕やけに感動するのは、太陽は毎日同じ仕事をしてるんだろうけど、そこのシチュエーションが雲行きとか、あるいはなんかその色んなものが環境として変わってくることがなんて言うんだろう、非日常っていうか、その感動に繋がるじゃないですか。やっぱり、そういうことを巻き込める力っていうかな。やっぱり今までの1個の光だと明るさだけ求めてきたっていうことから、色んなものを巻き込んでいく力に変わるっていうことを凄いなんか、ちょっと感じてます。なのでさっきの松本さんのやつ見て言ってんですけど、実は。なんか石に被せなきゃいけないとか、配線までやっちゃおうとか、あらゆる環境のシチュエーションを巻き込みながら、その効果を皆が考えたり、協力していくっていう構図は、中々今までそうそう簡単に起こってきてないんです。でも、そのムーブメントみたいなことが、やっぱりこれから凄くあるかなって思います。またその変化の最終的にカスタマイズする優先権って、やっぱり最後はユーザーなのかって思った時にデザイナーの役割、これも凄いなんか重要だなって思うし、やっぱりそこの一体感というか照明メーカーさん本当にちゃんとした器具を収めてっていうよりも、それぞれが同じ立ち位置で、ちゃんとディスカッション出来たり、そのクリエイティブの価値をなんかもっと双方向にできる必要あるよね。だからそういう意味で言うと、『Synca』の商品の中に見れる価値は、まさに新しいプラットフォームが出来上がるっていうようなことが感じられるんじゃないかと感じました。別にこれ宣伝じゃなくてね。」

 

事務局「変化を少しずつ感じ取っていただけましたでしょうか。お時間が来てしまいましたので、本日はこれで終わりたいなと思います。ありがとうございました。」
※このページは、2022年8月8日(月)に行われたオンライントークイベントのレポートです。

 

本オンラインイベントでご紹介しております次世代調光調色「Synca」は、以下WEBページで詳細をご確認いただけます。